今月のコミックビーム

欄干にそっと手を置き柔らかく微笑むエマが描かれた表紙に
最終回のセンチメンタルな気分をいやがうえにも高められて
いざ表紙をめくったらナスのヘタのような頭に三白眼の男が
こちらを睨んでました。


ということで、巻頭カラーは唐沢なをき『まんが極道』。
この畳み掛けるようなばかばかしさ。
漫画の台詞を生真面目に大声で読み上げ
自分たちの出している新聞のカラーも省みず
速攻で出版を決める編集部員2名に爆笑しました。


感傷的な気分をすっかり洗い流したところで
森薫『エマ』最終回。
ジョーンズ家の兄弟の態度にふたりの険しい前途を暗示させつつ、
外からジョーンズ父を見上げ一礼するエマの瞳に
それを真っ向から受けてたつ力強さを感じました。


そして、ウィリアムがドレスアップしたエマの手をとり
教えるように自分の腕の内側に導く場面の
じっくりと丹念なコマ運びは流石でした。


涼やかに微笑むウィリアム。
幸せそうに頬を緩ませるエマ。


穏やかな余韻を残す、良い締めくくりでした。