駅前の挑戦者たち

やや大きめの駅前でだいたいひとりは遭遇するティッシュ配りのお兄さんお姉さん。
あの仕事はハタから見ていてもなかなか興味深いものであります。


手首の返しも滑らかに、的確に且つスピーディーに
こちらの受け取りやすい位置にティッシュを差し出すお姉さん。玄人の域です。


プロのナレーションのような声で「よろしくお願いしまーす」を
まるでテープレコーダーのごとく繰り返すお姉さん。
道行く人に幾度となく無視されてもメゲません。プロを感じます。


もはや拒否されること前提で、歩いてる人から遠く離れてるところに
おずおずとティッシュを差し出すおとなしそうなお姉さん。さもありなん。
賑やかな駅前にひとりで立ってて、何人もの人間に存在すら否定されるように
無視され続けたら腰が引けてしまうのもムリのない話なのかもしれません。


バラエティに富んだキャラの多いお姉さんに比べ
お兄さんはシャイな人が多いのか、なるべく個性を消し存在感を消して
周りに同化しつつ淡々と配っている人が多いように思います。


それにしても、夏の暑さ冬の寒さにも負けず路頭に立ち、
異質な存在とみなされ、時に目の前に人の流れのエアポケットを出現させられ、
反応の薄い大勢の人間にもメゲず可能性の低いアタックを敢行し続けるには
心身ともにかなりのタフさが必要なのではないかと。


そんな過酷な任務に日々挑むスタンドアローンな彼らに幸あれ。