野良犬黒吉

のらくろ』を読んでいます。小学校時代の愛読書でした。


といっても、もちろん昭和初期に少年時代を過ごしていたわけではなくて
児童館の図書室にのらくろの復刻版が置かれていたのです。


棚の片隅でひっそり眠っていた本を興味本位で手にとって
パラパラと読んでみたら、これが面白くて。ずいぶん通って読みました。
あんまり面白かったものだから
「どうせ誰も読んでないならちょうだい」と先生にお願いするほど。
もちろん却下されましたが。


軍隊生活を描いているのに、どこか呑気でほのぼので、
酒保(軍内の日用品・飲食物の売店)で売られている饅頭やうどんや
バケツに汲まれたしるこや
当番で大量につくったにわとりの煮付けがやたら美味そうで、
橋を架けたり陣地を造ったりする訓練がワクワクするくらい楽しそうで、
描かれていた時代文化に憧れのようなものを抱きながら
夢中で読んでいました。


当時通っていた小学校の近くには、まだ昭和初期の趣きを持つ家が
けっこう残っていて、作中に描かれた背景に
なんとなく親近感を持ったことも、この漫画に引き込まれる
要因のひとつになったのかもしれません。


あらためて読んでみると、カラーページがまた良くて。


ほとんどのコマに影が丁寧に描かれていて、また印刷の都合のせいか
空がほの赤くて夏の朝焼けのような趣きがあるのです。


ちなみに、現在手元にあるのは30年くらい前に発刊された文庫版。
ブックオフで100円で売られていたのを購入しました。


よい買い物でした。