調和する主役

この時期、外を歩くと
思いのほかソメイヨシノが多いなあ、と実感します。


もちろん、その存在感は主役級なのですが、
花の色の淡さからか、
他のより際立った色の花をつける桜に比べると
どこか控えめな印象を受けるのです。


例えば花の色は晴れた空の雲の色と同化しやすいですし、
一面ソメイヨシノが咲いているなかに
ポツンと緑の葉を生い茂らせた木があると、
むしろそちらが目立つように見える気がします。


看板役者なのに、他の演者を引き立たせることを知っている
奥ゆかしさというか、そんな謙虚なところが、
パッと咲いてサッと散る潔さと相まって
私たち日本人の美意識を心地よくくすぐるのかもしれません。